20年以上も司法書士をしてますと、それこそ何百何千もの戸籍を見ますので、不思議な戸籍を見る事があります。
そんな中で今まで一番驚いたのが、同一人物が2人分の戸籍を持っていた事です。
この方はAさん、女性でした。
Aさんは結婚により、実家から別の町へ引っ越したのですが、通常、結婚すると親の戸籍から抜けて配偶者との新しい戸籍が作成されます。
ところが、Aさんの両親の戸籍にはAさんがお嫁に行った記載がなく、戸籍に入ったままになっていました。
しかも戸籍上は独身のままとなっていて、両親が死亡したため一人戸籍で両親の戸籍に残っていました。
その一方で、結婚により新しい戸籍が別の町で作成されていたため、実家にいるAさんと、嫁ぎ先のAさんがこの世に2人存在していることになっていたのです。
これもまれではありますが、同じ戸籍内で同じ名前の方がいる事もあるため、事務所のスタッフ全員で戸籍を何度も何度も確認し、やはりこれは同じ人物だと頭を抱えました。
もちろんこのままでは相続手続きを進める事はできません。
それぞれの役所に事情を説明すると、
「長年役人やっているけど初めてみました」
と言われる始末。
最終的には一人分の戸籍を抹消する事になりましたが、人の戸籍を間違いだからと言う理由で役所の一存で簡単に抹消する事はできないそうで、役所から法務省へ許可を取らなければいけないとの事でした。
戸籍上とは言え、人を一人居なかった事にするにはそれ相応の調査が必要である事は当然と言えます。
結局、手続きには三ヶ月以上かかり、ようやっと実家の方に入ったままになっていたAさんを抹消してもらう事ができました。
なんとも不思議な出来事でした。
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